企業が誹謗中傷対策をする6つの方法
インターネットの誹謗中傷による風評被害は企業活動の大きな支障となります。風評被害は事実無根の誹謗中傷によって損失が生じることです。
誹謗中傷による風評被害によって、商品・サービスが売れない又は採用が上手く行かない等のリスクが生じます。
この記事では企業が誹謗中傷対策をする場合にどのような方法があるかを解説します。
- 2009年 京都大学法学部卒業
- 20011年 京都大学法科大学院修了
- 2011年 司法試験合格
- 2012年 森・濱田松本法律事務所入所
- 2016年 アイシア法律事務所設立
1. サイト運営者に対して削除を求める
ブログや掲示板で誹謗中傷がなされた場合の対応として、サイト運営者に対して削除を求めることが考えられます。
サイト運営者が設置した問合せフォームから、削除を求める投稿・削除を求める理由等を記載して削除を求めます。
サイト運営者に削除を求める方法は非常に簡単だというメリットがあります。個人ブログで特段の思い入れがない記事であれば、あっさり削除依頼に応じるときもあるでしょう。
他方で、サイト運営者によっては削除依頼に厳格な要件を指定しており、当該要件に従っていないので削除依頼を無視することもあります。削除依頼を無視されると、どうしようもないと言えます。
また、サイト運営者によっては削除依頼があったことで反論記事を書いたり、又は削除依頼があったことを公表することもあります。かえって風評被害が拡大するリスクもある方法です。
2. 逆SEO対策による誹謗中傷対策
逆SEO対策とは、インターネットで自社名や商品・サービス名が検索されたときに、誹謗中傷がされたページやキーワードを表示しないようにする技術です。
例えば、Googleで自社名を検索したときに関連ワードに「ブラック」や「やばい」等のネガティブな情報が表示されるとマイナスイメージになります。
また、自社名を検索した検索結果において誹謗中傷記事が上位表示されると風評被害が拡大します。
このように有害な情報を目立たなくするのが逆SEO対策の技術です。
しかし、逆SEO対策はどの程度効果があるかは分かりません。あくまで検索結果をコントロールしているのはGoogleやYAHOO!等の検索エンジンであり、逆SEO対策業者はこれを保証できません。
詐欺まがいの悪質な業者もいるようですので、逆SEO対策を行うときは慎重に判断をする必要があるでしょう。
3. 弁護士による削除請求
弁護士から削除依頼をすることも考えられます。自社で削除依頼をしても無視をされたとしても、弁護士を通じて削除依頼をすると与えるプレッシャーは格段に違います。
とくに個人ブログ等の誹謗中傷については、弁護士からの削除依頼にはあっさり応じてくれるケースも少なくありません。
また、サイト運営者によっては弁護士を通じて削除請求をした場合にのみ削除対応をするところもあります。
また、誹謗中傷が問題になりやすい匿名掲示板等ではガイドラインが定められており、当該ガイドラインに詳しい弁護士が削除請求をした方がスムーズなケースも少なくありません。
4. 一般社団法人テレコムサービス協会作成の送信防止措置の依頼
送信防止措置とはプロバイダ責任制限法に定められた投稿の削除方法です。そして、通信上業者から構成された一般社団法人テレコムサービス協会は送信防止措置の依頼書を公表しています。
送信防止措置依頼書をサイト管理者やプロバイダに送付すると、投稿者に対して削除の可否を確認し、7日以内に反論がなければ削除されます。
ここで言う「プロバイダ」には、インターネット接続サービスを提供するプロバイダだけでなく、例えば無料ブログやSNSを運営する会社、サーバーの運営会社、サイト管理人等も幅広く含まれます。
送信防止措置の依頼書は法律に定められた手続であり要件が定められています。依頼書において当該要件を満たす事実を記載しなければなりません。
とくに誹謗中傷の投稿によってどのように権利侵害がされているかを明確にしなければならない点に注意が必要です。
5. 投稿記事削除の仮処分
送信防止措置依頼書を送付しても応じて貰えないときは、裁判所を利用した誹謗中傷対策を行うことになります。
投稿記事を削除するためには仮処分の申立てを行うことになります。
投稿記事削除の仮処分とは、裁判を行う前に被害拡大を防止するために一旦記事を削除させることです。
仮処分は、仮の措置ではあるものの、裁判を行うまでもなく記事削除の命令が出されるため裁判で勝訴判決を得たのと同じ効果があります。
仮処分の申立ては、仮処分命令申立書と審尋手続のみで終わるため短期間で結論が出ます。
そのため、しっかりと説得力がある仮処分命令申立書を作らないと認められません。
とくに要件を踏まえてどの程度の主張や証拠が必要かを知っている必要があります。基本的には仮処分を申し立てるのであれば弁護士に依頼することになるでしょう。
6. 発信者情報開示請求を行う
誹謗中傷対策として、投稿自体を削除するだけでなく、投稿者を特定するために発信者情報開示請求を行うことが考えられます。
発信者情報開示請求はあくまで投稿者の氏名・住所等を特定するものです。
しかし、氏名・住所を特定した上で投稿者に対して民事上の損害賠償や刑事告訴を行うことにより、誹謗中傷が繰り返されることを防ぐことができます。
発信者情報開示請求に関しては別途解説しているのでご覧ください。
7. まとめ
この記事では6つの誹謗中傷対策の方法について解説しました。
様々な誹謗中傷対策のメリット・デメリットを踏まえて、適切な手段を取る必要があります。インターネットの重要性が高まっているため、誹謗中傷による風評被害は企業にとって重要な問題です。
誹謗中傷対策にお悩みであればインターネット問題に強い弁護士に相談されることをおすすめします。