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残業代の平均や目安について

残業代の平均や目安について

退職時に未払いの残業代があれば残業代を請求することができます。

どの程度の残業代が請求できるかは具体的事情次第ですが、残業代の平均金額は目安となります。

もっとも、公表されている「残業代の平均」はあくまで会社側の申告に過ぎないことに注意する必要があります。

ここでは、公表されているデータに基づいて残業代の平均を解説し、さらに実態として未払い残業代を請求しやすい業種について解説します。

1.     残業代の平均について

どの程度の残業代が生じているかは厚生労働省の統計や転職サイトのアンケート等から知ることができます。

1.-(1)  厚生労働省のデータ(2019年11月分)

厚生労働省により公表されたデータによれば、以下の業種別における残業代は以下の通りとなっています。

1か月あたりの残業代が最も多いのは電気・ガス業で61,075円となっています。平均的には毎月12時間程度の残業時間であり、1か月当たりの残業代は約2万3500円となっています。

産業 現金給与額 所定外給与 所定外労働時間
鉱業,採石業等 315,673 25,672 15.6
建  設  業 345,272 27,778 15.7
製  造  業 317,086 35,142 14.9
電気 ・ ガス業 451,451 61,075 16.1
情 報 通 信 業 398,716 31,676 15.1
運輸業,郵便業 308,242 43,156 23.6
卸売業,小売業 239,305 11,518 7.8
金融業,保険業 376,632 21,292 12.2
不動産・物品賃貸業 299,765 17,489 11.1
学 術 研 究 等 412,412 26,773 14.8
飲食サービス業等 116,809 6,890 5.9
生活関連サービス等 191,896 10,121 6.5
教育,学習支援業 305,425 6,371 9.9
医 療,福 祉 253,359 13,721 5.4
複合サービス事業 310,202 17,586 9.5
その他のサービス業 231,657 19,259 10.6
平均 304,619 23,470 12

(参考)厚生労働省HP:毎月勤労統計調査2019年11月確報

1.-(2)  DODAによるアンケート調査

他方で、転職・求人サイトのDODAが1万5000人のビジネスパーソンを対象に実施したアンケート調査によれば、、平均的な残業時間は24.9時間とされています。

(参考)残業時間ランキング2019【15,000人調査】

本調査では残業代については公表されていません。しかし、厚生労働省のデータによれば残業代の時給は平均すると約1955円(23,470円÷12時間)であり、1か月当たりの残業代は平均して約4万8000円程度になるはずです。

2.     データの違いから推計する平均的な未払い残業代

2.-(1)  残業時間・残業代の平均に違いがある

厚生労働省のデータとDODAによるアンケート調査では残業代・残業時間の平均に違いがあります。

残業時間 残業代
厚生労働省 約12時間 約2万3500円
DODA 約25時間 約4万8000円(推計)

残業代・残業時間の平均が生じる理由としては、回答の主体が異なるためと考えられます。

厚生労働省のデータは、調査対象事業所が回答主体であり要するに会社側の見解です。他方で、DODAによるアンケート調査はビジネスパーソンが回答主体であり要するに残業の実態です。

2.-(2)  差額が未払い残業代になっている可能性

従って、会社が残業時間と認めて残業代を支払っているのが、厚生労働省のデータによる平均的な残業時間が毎月12時間・1か月当たりの残業代2万3500円です。

他方で、DODAのアンケート調査によると、実際には平均して毎月約25時間程度残業をしており、約4万8000円程度の残業代が生じているはずです。

従って、この差額である約2万5000円程度について平均的に未払い残業代が生じている可能性があります。

残業代は時効があるため2年間分を請求できるため、もし毎月2万5000円の未払い残業代が生じているとすれば、2万5000円×12か月×2年=60万円程度の未払い残業代を請求できます。

3.     実務的な感覚による平均的な未払い残業代

しかし、実務的な感覚による平均的な未払い残業代はより多いと感じます。

3.-(1)  そもそも残業時間だと考えていない

この理由として考えられるのが、DODAによるアンケート調査における残業時間は、あくまでビジネスパーソンが把握しているものです。

会社の慣習やルールになれてしまっており、残業時間だと認識していない可能性があります。タイムカードに記録しており、自分が認識している残業時間はこの程度でも、これは本当の残業時間とは言えないこともあります。

残業代請求に詳しい弁護士に相談に行って分かる正しい残業時間が多いと分かることも少なくありません。

3.-(2)  平均的な残業代が多い=未払いの残業代も多い?

厚生労働省のデータだけを見れば、平均的な残業代が多い電気・ガス業界は未払い残業代が生じている可能性が高いと思われるかもしれません。

しかし、逆に電気・ガス業界はきちんと残業時間を管理し、残業代を支払っているからこそ、厚生労働省のデータにおいて平均的な残業時間・残業代が多いとされているのです。

実務的な感覚から言えば、厚生労働省のデータにおける平均的な残業代と現実に未払い残業代が請求できる業界は全く異なります。

3.-(3)  実務的な感覚における平均的に未払い残業代が多い業種

高額な未払い残業代を請求できるのは平均的に残業代が多い業種ではありません。

平均的な残業代とは関係なく、現実に残業時間が多いこと及びきちんと労務管理がされていない業界は未払い残業代が多い傾向にあります。

具体的には以下のような業種では未払い残業代が生じていることが多いようです。

業種・業界 理由
IT業界 緊急の対応が求められる上に人手不足でサービス残業が常態化しがちである。
飲食業 労務管理がずさんであり、社員が管理監督者と扱われて残業代を支払われていないことが多い。
工事関係 工事時間が前後したり、人手不足から深夜までの残業が常態化しがちである。
運送業界 残業時間がきちんと把握されておらず、業界慣行として残業代を支払う意識がないケースが多い。
コンサルティング業界 長時間労働が常態化しており、高額な給与を得ていることから残業代がなくて当然と思われがちである。

4.     まとめ

この記事では、各種データから平均的な残業代・残業時間を調べた上で、平均的に未払い残業代がどの程度生じているかを推計しました。

もっとも、データに現れていない残業代も少なくありません。実務的な感覚から言えば、データ上で平均的な残業代が高額だからと言って、未払い残業代が多く請求できるわけではありません。

あくまでも未払い残業代は、どの程度の労働時間があり、さらに残業代が支払われていないケースが多いかが問題となります。

もし長時間労働している割に1か月当たりの残業代が少ない、サービス残業を強いられるケースが多いと感じるのであれば、一度弁護士に相談することをおすすめします。

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