弁護士を探していると、ほとんどの事務所が「幅広く対応」「実績豊富」と書いていて、結局どこが得意分野なのか分からないと感じがちです。

しかし、弁護士選びで起きやすい失敗は「腕が悪い」よりも、得意分野・進め方・コミュニケーションのミスマッチです。この記事では、弁護士の得意分野はどう見抜く?HPの見方と質問例を、初めての方でも実践できる形にまとめます。

この記事では、次の疑問に答えます。

  • 「得意分野」と「取り扱い」の違いは?
  • ホームページのどこを見れば、経験の厚さが分かる?
  • 初回相談で、何をどう質問すれば見抜ける?
  • 避けた方がいいサイン(赤信号)はある?

ポイント:HPで「候補を絞り」、初回相談の質問で「本当に得意か」を検証すると、失敗確率が下がります。


「得意分野」と「取り扱い」の違い

まず押さえたいのは、「取り扱い分野に書いてある=得意分野」ではないという点です。

多くの法律事務所は、相談者の入口を広くするために、取扱分野を幅広く記載します。一方で、得意分野は次のような意味合いを含むことが多いです。

得意分野のイメージ

・似た事件の経験が多い(論点の勘所や落とし穴を把握している)
・証拠の集め方、主張の組み立て、手続選択がスムーズ
・相場観(期間・費用・着地点)が現実的で、説明が具体的
・必要に応じて交渉〜裁判手続まで一貫して設計できる

逆に、得意分野が合わないと「説明が抽象的」「見通しがぶれる」「必要な準備が後手に回る」などが起きやすくなります。だからこそ、HPの情報と相談時の質問で、できるだけ見極めるのが大切です。


HPで得意分野を見抜くチェックポイント

ホームページは“広告”でもあるため、言葉だけで判断すると迷います。そこで、「具体の情報があるか」を軸にチェックしていきましょう。

チェック1:取扱分野ページが「具体的」か

単に「離婚/相続/労働…」と並んでいるだけではなく、相談が多い類型(例:慰謝料、財産分与、遺産分割、残業代など)が整理されているかを見ると、注力度合いが出やすいです。

チェック2:解決事例(実績)の“中身”が似ているか

件数の多さよりも、あなたのケースに近い要素があるかが重要です。例えば、争点(お金・親権・雇用継続など)、相手方の属性(会社・配偶者・親族など)、手続(交渉・調停・訴訟)が近いかを見ます。

事例がまったく載っていない場合でも、守秘の関係で公開していない事務所もあります。その場合は次のチェックに重心を移します。

チェック3:コラム記事が“継続的”で“深い”か

コラムは、得意分野が出やすい場所です。

・特定分野の記事が多い(量)
・更新が止まっていない(継続)
・一般論だけでなく、分岐や注意点が書かれている(深さ)

コラムのテーマが一貫している事務所は、その分野に相談が集まりやすく、結果的に経験も厚くなりやすい傾向があります。

チェック4:弁護士プロフィールが“事件処理に関係する情報”になっているか

経歴が立派でも、あなたの事件に直結するとは限りません。見るべきは、次のような実務に近い情報です。

・注力分野が明記されているか
・どんな相談を多く扱っているか(類型が具体的か)
・相談者向けの説明が分かりやすいか(言語化の力)
・複数名体制の場合、分業がどうなっているか

チェック5:料金表が分かりやすいか(見積もり文化があるか)

得意分野かどうかと料金は別ですが、費用が不透明だと比較ができず、結果的にミスマッチが起きやすいです。料金表がある/費用の考え方が説明されている事務所は、相談時にも見積もりが具体化しやすい傾向があります。

チェック6:「誰に向けた事務所か」が一致しているか

個人の生活トラブル中心なのか、企業法務中心なのか、オンライン中心なのか。あなたの状況(緊急性、地域、面談の可否)と合っているかも、実務上は重要な“得意”の一部です。


初回相談での質問例(コピペOK)

HPで「たぶん合いそう」と思っても、最終判断は初回相談の中身で決まります。下の質問を、必要な分だけ使ってください。

  • 経験確認:「同じような事件(争点が近い事件)を、最近どのくらい扱っていますか?」
  • 方針の選択肢:「交渉/調停/訴訟のうち、現実的な選択肢とメリット・デメリットを教えてください」
  • 見通し:「現時点の強み・弱み(不利な点)を、それぞれ教えてください」
  • 証拠:「この事件で重要な証拠は何ですか?不足しているなら、何をどう集めるべきですか?」
  • 期間:「解決までの目安期間はどのくらいですか?長引くとしたら理由は何ですか?」
  • 費用:「総額の目安(着手金・報酬・実費)と、追加費用が発生する条件を教えてください」
  • 担当:「実際の担当は誰ですか?連絡窓口は弁護士本人ですか?」
  • 連絡:「連絡手段(電話・メール等)と、返信の目安はどのくらいですか?」
  • こちらの役割:「依頼者側で準備すべき資料・やるべきことは何ですか?」
  • 相性の確認:「もし方針が合わない場合、どの段階で見直しになりますか?」

得意分野の弁護士ほど、「何を見てそう言えるのか」を具体的に説明できます。逆に、質問しても抽象的な返答しか返ってこない場合は、まだ経験が浅いか、情報不足で判断できない可能性があります。

聞き方のコツ:「絶対勝てますか?」ではなく、「不利な点も含めて現実的な見通しを知りたいです」と伝えると、回答の質が上がりやすいです。


合わないサイン(避けたいパターン)

次のような傾向が複数当てはまる場合は、慎重に検討した方が安全です。

  • 結果を断言する(「必ず勝てる」「100%大丈夫」など)
  • 不利な点・リスクの説明がほとんどない
  • 質問に対して回答が曖昧で、根拠が出てこない
  • 費用の説明が不透明(追加費用の条件が説明されない)
  • 契約を急がせる(不安を煽って即決させようとする)

もちろん、相手方の出方や証拠次第で見通しが変わる事件も多いので、「慎重な説明=悪い」ではありません。大切なのは、慎重であっても説明が整理されていて、次に何をすべきかが具体的かどうかです。


相談前に準備すると精度が上がるもの(資料・メモ)

得意分野を見抜くには、弁護士側だけでなく、あなたの準備も重要です。情報が整理されているほど、弁護士も見通しを出しやすく、あなたも比較しやすくなります。

最低限そろえると良いもの

・出来事の時系列(いつ・誰が・何をしたか)
・関係者の情報(氏名、関係性、会社名など)
・手元の証拠(LINE、メール、契約書、写真、録音など)
・期限が分かる資料(督促、通知、裁判所書類など)
・希望条件の優先順位(絶対に譲れない点/妥協できる点)
・予算感(どの程度までなら依頼できるか)

可能なら、同じ資料・同じ質問で2〜3名に相談すると、得意分野や方針の違いがはっきり見えます(いわゆるセカンドオピニオンの活用です)。


まとめ

弁護士の得意分野は、キャッチコピーではなく「具体情報」と「質問への答え方」で見抜くのがコツです。

  • 「取り扱い」と「得意」は別。経験の厚さは具体情報に出る
  • HPでは、取扱分野の書き方・事例・コラム・プロフィール・料金表をチェック
  • 初回相談は、経験/方針/見通し/証拠/費用/連絡体制をテンプレで質問する
  • 結果保証・説明不足・費用不透明・即決圧は注意サイン
  • 時系列や証拠を整理して相談すると、比較と判断がしやすい

    迷ったら、「この分野の経験がどこに表れているか」をHPで探し、相談で“根拠のある説明”が返ってくるかを確認するのが、最短で確実です。