弁護士に相談しようと思っても、「依頼すると具体的に何をしてくれるの?」「自分でやるのと何が違う?」が分からず、迷う方は少なくありません。

結論からいうと、弁護士に依頼すると、法律のプロとして“方針を立てる”だけでなく、“相手との交渉窓口になり、必要な書面を作り、裁判所手続まで代理して進める”ことができます。精神的な負担や、期限・手続ミスのリスクを減らせるのも大きなメリットです。

この記事では、次の疑問に答えます。

  • 弁護士に「依頼」すると、具体的に何をしてくれる?
  • 弁護士ができること・できないことの境界線は?
  • 依頼から解決までの流れはどう進む?
  • 相談・依頼前に準備しておくとスムーズなものは?

「相談」と「依頼」は違う:弁護士の役割をまず整理

弁護士との関わり方には、大きく分けて「相談」「依頼(受任)」があります。

相談は、現状の整理や見通し、取るべき選択肢の説明を受ける段階です。まだ弁護士があなたの代理人として動くわけではなく、「どう動くのが得か/危ないか」を確認するイメージになります。

依頼(受任)は、委任契約を結び、弁護士が代理人として相手方や裁判所手続に関与していく段階です。ここから先は、弁護士が単に助言するだけでなく、対外的な窓口として動けるようになります。

「相手と直接話すのがしんどい」「何をどう言えばいいか分からない」「期限が迫っている」「書面が届いて焦っている」などの場合は、相談だけでなく依頼まで検討する価値があります。


弁護士に依頼するとしてくれること一覧(できること)

弁護士ができることは多岐にわたりますが、実務では次のように整理すると分かりやすいです。

  • ① 事情整理・見通しの提示(勝ち筋/落としどころ/リスクの整理)
    事実関係と証拠を整理し、法的に通りやすい主張・通りにくい主張、想定される反論、現実的な解決ラインを検討します。
  • ② 相手方との交渉窓口(連絡・交渉を代理)
    相手方本人や相手方の代理人(弁護士・会社担当者など)とのやり取りを受け持ちます。感情的な衝突を避けつつ、主張すべき点と譲歩可能な点を整理して交渉します。
  • ③ 請求や回答の「書面化」
    内容証明郵便、通知書、回答書、示談書・合意書、契約書チェックなど、後で争いになったときに効いてくる“形に残る書面”を作成・修正します。口約束で揉めやすい場面ほど重要です。
  • ④ 裁判所手続の代理(調停・訴訟・審判など)
    裁判所に提出する書類作成、期日(話し合い・審理)での主張立証、相手の反論への対応などを行います。手続選択(交渉で粘るか、調停に移すか等)も含めて設計します。
  • ⑤ 緊急対応(期限が短い・保全が必要なケース)
    期限が迫る回答、突然の請求、差押えや仮処分など、急ぎで動く必要がある局面では、優先順位を付けて必要な手続を検討します。
  • ⑥ 証拠・資料の整理と「集め方」の助言
    どの証拠が有効か、追加で集めるなら何をどう確保するかを整理します。分野によっては、銀行の取引履歴、戸籍・登記、勤務記録、やり取りのログなどを取り寄せて組み立てます。
  • ⑦ 交渉・手続の進行管理(期限・段取りの管理)
    放置すると不利になる期限(回答期限、時効、申立期限など)を意識しながら、必要な手続と段取りを管理します。
  • ⑧ 解決条件の設計(再発防止・回収可能性まで見据える)
    「合意したのに守られない」を防ぐため、支払方法(分割、期限、違約条項など)や、実行しやすい条件に落とし込みます。状況によっては強制執行も見据えて設計します。

ポイントは、弁護士は「言い方を整える人」ではなく、事実・証拠・手続を踏まえて、解決までの道筋を作り、代理人として実際に動ける人だということです。


弁護士でもできないこと・限界(誤解されやすい注意点)

依頼する前に、「弁護士なら何でもできる」という誤解は解いておくことが大切です。できないことを知っておくと、依頼後のすれ違いが減ります。

  • 結果の保証(必ず勝てる/必ず取れる等)はできない
    法律問題は証拠や相手の反論、裁判所の判断などで結果が変わります。弁護士ができるのは、見通しを示し、最善を尽くすことです。
  • 嘘の主張・証拠の捏造など、違法・不適切な対応はできない
    依頼者に有利でも、虚偽の主張や証拠作りはできません。結局は不利になりやすく、トラブルが拡大します。
  • 相手を「困らせるだけ」の目的(嫌がらせ)の代行は難しい
    法的に正当化できる目的や手段であることが必要です。正当な権利行使として筋が通るかが重要です。
  • 弁護士にも「得意・不得意」や受任できない事情がある
    分野の相性、利益相反(相手方との関係)、スケジュールなどにより、依頼を受けられないことがあります。
  • 依頼すれば“何もしなくていい”わけではない
    事実確認、資料提供、追加の聞き取りなど、依頼者の協力が必要です。連絡が滞ると手続が進みにくくなります。

「どこまで現実的にできるか」を最初に擦り合わせると、費用面も含めて納得感のある依頼になりやすいです。


弁護士に依頼してから解決までの流れ(全体像)

案件により前後しますが、一般的な流れは次のとおりです。

1)初回相談(事情の整理・方向性の確認)
いま起きている事実、相手の主張、手元の資料、希望(何をゴールにしたいか)を確認します。ここで「交渉でいけるか」「裁判所手続が必要か」「急ぐべき期限があるか」を見立てます。

2)利益相反チェック・受任可否の判断
相手方の氏名や会社名などの確認を求められるのは、利益相反がないかを確認するためです。ここがクリアできないと依頼は受けられません。

3)費用の説明・契約(委任契約)
相談料、着手金、報酬、実費(日当等を含む場合も)などの説明を受け、依頼する場合は契約します。分からない点は、この段階で遠慮なく確認しましょう。

4)着手:通知・交渉/書面作成/証拠整理
相手に連絡を入れる、書面を送る、証拠を整理するなど、方針に沿って動き始めます。ここから相手方との連絡窓口が弁護士に移ることも多いです。

5)解決:示談(合意)か、裁判所手続(調停・訴訟等)か
交渉でまとまれば合意書を作成して終了へ。まとまらない場合は、調停・訴訟などで解決を図ります。

6)解決後:合意の履行・回収・名義変更など
支払いがあるなら入金確認、必要に応じて強制執行の検討、相続や不動産なら名義変更など、実行までつなげます。

「どの段階で何をするか」が見えると、依頼するかどうかの判断もしやすくなります。


依頼前に準備するとスムーズなこと(資料・伝え方・質問例)

弁護士に依頼するか迷っている段階でも、次の準備があると相談がスムーズです。すべて揃っていなくても構いません。

  • 時系列メモ(いつ・何が起きた・相手が何を言っている・現在の状況)
  • 相手方情報(氏名、会社名、住所、連絡先など分かる範囲)
  • トラブルの核心が分かる資料(契約書、請求書、通知書、裁判所書類、やり取りの履歴など)
  • 期限の情報(回答期限、期日、時効が気になる等)
  • 希望のゴール(何を求めるか/何は譲れるかの優先順位)
  • 聞きたい質問リスト(見通し・費用・期間・リスクなど)

相談時に聞いておくと失敗しにくい質問例

・この状況だと、まず何から着手するのが優先ですか?
・交渉でまとまる可能性と、裁判所手続へ行く場合の見通しは?
・依頼した場合、弁護士がやること/自分がやることは何ですか?
・費用体系(着手金・報酬・実費など)と、追加費用が発生しやすい場面は?
・こちらに不利な点があるとすれば何ですか?(隠さず確認する)

依頼の成否は、最初の準備で決まる部分もあります。特に「期限」と「証拠(裏付け資料)」は、早めに整理するほど有利です。


まとめ

弁護士に依頼すると何をしてくれるのかは、「代理人として動ける範囲」をイメージできると分かりやすくなります。

  • 依頼すると、交渉窓口・書面作成・裁判所手続の代理まで一体で進められる
  • 証拠整理や期限管理、合意条件の設計など「解決までの道筋づくり」も重要な役割
  • 一方で、結果保証や違法な対応はできず、依頼者の協力も必要
  • 相談前は、時系列・相手情報・資料・期限・希望を簡単に整理するとスムーズ