弁護士に相談したいと思っても、いざ電話となると「何を話せばいい?」「怒られない?」「断られたらどうしよう」と不安になりがちです。

電話の目的は、単に事情を聞くことだけではありません。①相談の入口を作る(予約・窓口案内)②事件に合う弁護士かを見極める③面談の時間を有効にするための大事なステップです。

この記事では、次の疑問に答えます。

  • 弁護士への電話は、まず何を準備すべき?
  • 電話では何をどんな順番で伝えるのが良い?
  • 初回の電話で、何を質問しておくべき?
  • 断られにくくするコツや、やってはいけない言い方はある?
  • 電話の後、面談までに何をしておくとスムーズ?

※以下は一般的な情報です。個別事情で結論や優先順位が変わるため、期限が近い・相手方から通知が来ている等の場合は、早めに専門家へ相談してください。


弁護士への電話相談は「予約の電話」か「電話相談」かで準備が変わる

まず最初に押さえたいのは、法律事務所への電話が「予約の電話」なのか、事務所として「電話相談(短時間の助言)」を受け付けているのかで、期待できる範囲が変わることです。

よくあるパターン

  • パターンA:予約の電話(主流)
    受付(事務スタッフ)が概要をヒアリングし、面談・オンライン相談の予約を取ります。電話口での助言は最小限で、主に「日程」「必要資料」「料金」「担当」などの調整が中心です。
  • パターンB:電話相談(短時間)
    事務所の方針として、一定の範囲で電話相談を受け付ける場合があります。ただし、本人確認や利益相反確認、資料確認ができないため、具体的な結論まで踏み込めないことも多いです。
  • パターンC:緊急対応(刑事・差押え・期限切迫など)
    事件の性質によっては、まず電話で緊急性を確認し、すぐ面談や受任手続に進むことがあります。

電話をかけたら最初に「今日は予約の相談か、電話で概要相談が可能か」を確認しておくと、すれ違いが減ります。


電話する前に準備すべきこと(メモ・資料・優先順位)

電話相談がスムーズになるかどうかは、準備が8割です。準備といっても難しいことではなく、「事実」「期限」「希望」を短くまとめるだけで十分です。

最低限の準備(5点セット)

  • ① 30秒で言える状況メモ(後述のテンプレ参照)
  • ② 時系列(いつ/何が起きた/相手が何を言っている)
  • ③ 相手方情報(氏名・会社名など分かる範囲)
  • ④ 期限(裁判所・役所・相手からの通知期限、時効が気になる等)
  • ⑤ 希望のゴール(お金を取りたい/払いたくない/早く終わらせたい/関係を切りたい等)

資料は「全部そろっていなくてもOK」です。電話時点では、手元にある範囲で構いません。

  • 相手から来た書面(通知書、請求書、内容証明、裁判所書類など)
  • 契約書・合意書・領収書・振込履歴など
  • LINE・メールのやり取り(画面メモでも可)
  • 交通事故なら事故状況、保険会社の連絡、診断書等

電話をかける環境も地味に重要です。

  • 静かな場所で、メモが取れる状態でかける(移動中は避ける)
  • 電波が安定している場所でかける
  • 時間を確保できるタイミングでかける(「いま3分しかない」は不利)

電話で伝える順番(30秒要約)と質問例

電話では、長い経緯を最初から話すよりも、結論→要点→補足の順が伝わりやすいです。最初の30秒が勝負になります。

伝える順番(おすすめ)

  1. 名乗る(氏名・連絡先)
  2. 相談分野(相続、離婚、借金、労働、事故、ネットトラブル等)
  3. 現状のトラブル(相手から何をされている/何を求められている)
  4. 期限・緊急性(回答期限、期日、差押え、警察・裁判所関連など)
  5. 希望(どうしたいか)
  6. 相手方の氏名・会社名(利益相反チェックに必要)

30秒テンプレ(コピペOK)

  • 「お忙しいところ恐れ入ります。〇〇(氏名)と申します。」
  • 「〇〇(相続/離婚/残業代など)の件で相談したく、お電話しました。」
  • 「現在、相手から〇〇(請求/通知/退職勧奨など)を受けており、〇月〇日までに対応が必要です。」
  • 「私としては〇〇(減額したい/争いたい/早期解決したい等)と考えています。」
  • 「相手方は〇〇(氏名/会社名)です。まず予約や相談の可否を伺えますでしょうか。」

受付の方がヒアリングするのは、冷たく断るためではなく、担当の割り振り・利益相反確認・必要資料の案内のためであることが多いです。必要な範囲で、落ち着いて答えましょう。

初回の電話で聞いておくと失敗しにくい質問例

  • 相談方法:「電話で概要相談が可能ですか?面談(対面/オンライン)の予約になりますか?」
  • 料金:「相談料はいくらですか?(無料の場合は条件はありますか?)」
  • 費用の目安:「依頼する場合の費用体系(着手金・報酬・実費)の目安はありますか?」
  • 準備物:「初回相談までに用意しておく資料は何ですか?」
  • 時間:「相談時間の目安は何分ですか?延長は可能ですか?」
  • 担当:「当日はどなたが担当されますか?(弁護士本人か、チーム制か)」
  • 緊急性:「期限が近いのですが、最短でいつ相談できますか?」
  • 法テラス等:「法テラス利用や分割払いの相談は可能ですか?」

ポイント:「結論をください」より、「次に何をすべきか(準備・期限・手続の優先順位)」を聞くと、電話でも有益な情報が得られやすいです。


やりがちな失敗と、断られにくくするコツ

弁護士側が受任を判断する際、内容だけでなく「進め方が成り立つか」も見ています。電話の段階で、誤解されやすい言動を避けるだけでも、相談は通りやすくなります。

よくある失敗

  • 最初から細部を全部話してしまう
    電話は情報が整理しにくいので、まず要点から。詳細は面談でOKです。
  • 感情だけが先に出てしまう
    怒りや不安は当然ですが、「何が起きたか(事実)」と「何をしたいか(希望)」を分けて伝えると、相手も判断しやすいです。
  • 不利な事情を隠す
    後から発覚すると方針が崩れます。恥ずかしい事情でも、弁護士には先に共有した方が結果的に有利です。
  • 結果の断言を求める
    資料や相手の反論が不明な段階で断言はできません。「リスクも含めて見通しを知りたい」と言うのが現実的です。
  • 相手方の情報を言わない
    利益相反の確認ができず、話が進まないことがあります。分かる範囲で伝えましょう。

断られにくくするコツ

  • 「期限」と「希望」を先に伝える(優先順位が分かる)
  • 事実と主張を分ける(「起きたこと」と「自分の評価」を混ぜない)
  • 無理な要求にしない(法的に難しい可能性も含め、相談したい姿勢を示す)
  • メモを見ながら落ち着いて話す(沈黙があってもOK)

電話の後にやること(面談前の整理・断られた場合の次の一手)

電話が終わったら、次の行動を決めておくとブレません。

面談が取れた場合

  • 当日の相談時間に合わせて、時系列メモを「A4 1〜2枚」に圧縮する
  • 証拠・資料は、時系列順に並べる(スクショは日付が分かる形で)
  • 質問したいことを3〜5個に絞る(優先順位を付ける)
  • 費用の見積もりを受けたら、内訳(着手金・報酬・実費・追加条件)を確認する

もし断られた場合

  • 断られた理由を可能な範囲で確認(「分野が違う」「利益相反」「スケジュール」など)
  • 分野が違うなら、その分野に注力する弁護士へ切り替える
  • 緊急なら複数へ当たる(期限がある場合は特に)
  • 費用面がネックなら、法テラス等の制度も含めて検討する

断られたからといって、あなたの相談が「おかしい」とは限りません。単にその事務所の体制や分野、相手方との関係(利益相反)などの理由で受けられないこともあります。


よくある質問(電話相談)

Q1:弁護士の電話相談は無料ですか?
A:事務所によります。「予約の電話は無料」「初回相談は有料」「一定分野だけ初回無料」など様々です。電話の早い段階で、相談料と、無料の条件(時間制限、対象分野、面談限定など)を確認しておくと安心です。

Q2:電話を録音してもいいですか?
A:トラブル防止のために録音したい場合は、できれば事前に「念のためメモ代わりに録音してもよいですか」と一言確認するのが無難です。少なくとも、録音した内容を第三者へ安易に共有するのは避けましょう。

Q3:うまく話せる自信がありません。
A:大丈夫です。電話が苦手な方ほど、事前に「30秒メモ」を用意するだけで改善します。時系列が苦手なら、まずは「いつ・誰と・何が起きて・今どうなっているか」だけで十分です。詳細は面談で整理できます。


まとめ

弁護士へ電話相談する時のポイントは、上手に話すことよりも、要点を整理して、必要な確認を漏らさないことです。

  • 電話の目的が「予約」か「電話相談」かを最初に確認する
  • 時系列・相手方情報・期限・希望を、短いメモにしてから電話する
  • 電話は「結論→要点→補足」の順で、30秒で説明できる形にする
  • 費用・相談方法・準備物・担当・緊急性は初回の電話で確認しておく
  • 断られても理由次第。分野・利益相反・体制の問題なら次へ切り替える

電話は「最初の一歩」です。期限が近い問題ほど、完璧に話そうとするより、まず相談の入口を作ることを優先してください。