被相続人(ご両親等)が亡くなった場合に相続の問題が発生します。相続は、突然発生するものですが、まずは相続手続の流れ・スケジュールをしっかり確認しましょう。
- 2009年 京都大学法学部卒業
- 20011年 京都大学法科大学院修了
- 2011年 司法試験合格
- 2012年 森・濱田松本法律事務所入所
- 2016年 アイシア法律事務所設立
01 死亡届の提出・死体埋葬許可証の取得
被相続人(ご両親等)が亡くなってから7日以内に、死亡診断書を添付した死亡届を市区町村役場に提出します。
また、死体埋葬許可申請書を市区町村役場に提出して死体埋葬許可証を取得します。
02 葬儀の準備
葬儀の準備を行います。
ここで注意する点は、葬式費用は相続財産を配分する時に相続財産から貰うことができるので、葬儀費用を自分で支出した場合は領収書を保存しておく必要があります。
03 遺言書の確認
遺言書があるかどうかで相続手続の進め方は大きく異なります。そのため、遺言書の有無を確認する必要があります。
遺言書がある場合には遺言書に従って財産の分配を行います。また、自筆遺言書の場合は遺言書を家庭裁判所に提出して確認してもらう手続きが必要となります(検認手続)。検認手続を行わずに遺言書を勝手に開封すると、5万円以下の過料が課されます。なお、公正証書遺言の場合には、検認の手続きは不要です。
遺言書を偽造・変造したり、又は隠したりすると、相続人としての地位を失うことになりますので注意が必要です。
遺言書がない場合は、相続人同士で話し合い(「遺産分割協議」といいます)を行って相続財産を分配することになります。遺産分割協議の進め方や遺産分割協議がまとまらない場合の手続については下記をご参照下さい。
(参考)遺産分割の手続きで損をしないための進め方と知っておくべきポイント
04 相続人の確認
通常は親族関係はお互いに把握していますが、念のため相続人の確認を行います。誰も知らない相続人がいるような場合に、その相続人を除いて遺産分割協議を行っても無効となるため注意が必要です。
相続人の確認は、被相続人が生まれてから亡くなるまでの全ての戸籍謄本等(除籍謄本、改製原戸籍)を取り寄せて行います。被相続人の死亡の記載のある除籍謄本から生まれた時の戸籍謄本までつながるように戸籍謄本を取り寄せて相続人を確定した上で、最終的には相続人全員の戸籍謄本、住民票を取り寄せます。
05 相続財産の調査
被相続人の相続財産を調査して、相続財産がどれくらいあるのかを確認します。
相続財産にはプラスの財産(資産)以外に、マイナスの財産(負債)が存在することもあるので注意が必要です。相続財産の調査は、不動産の場合は登記簿を確認し、銀行預金の場合は残高証明書を取り寄せるなどして行います。
相続財産が確定した段階で遺産目録を作成します。
相続財産の調査については下記記事をご覧ください。
(参考)相続財産調査費用の相場と弁護士に依頼する3つのメリット
06 相続財産が負債の方が多い場合(3か月以内)
相続財産が負債の方が多い場合は相続放棄や限定承認を検討する必要があります。相続放棄や限定承認を行わないと、被相続人の負債(借金)を返済する義務を相続してしまうため注意が必要です。
- 相続放棄とは、相続財産の一切を放棄することができる制度です。ほとんどプラスの財産がない場合や相続手続が煩雑な場合に行われます。
- 限定承認とは、相被相続人のプラスの財産の範囲内で被相続人の債務を支払う制度です。相続財産に思い入れのある不動産等が存在するためどうしても取得したい場合等に行われます。
相続放棄と限定承認手続は、いずれも被相続人の死亡を知ってから3か月以内に家庭裁判所に申立てをして行う必要があります。期間制限があることから相続財産がマイナスとなる(負債の方が多い)場合には迅速な対応が必要となります。
07 準確定申告(死亡から3か月以内)
準確定申告とは、被相続人の死亡した日までの被相続人の所得を税務署に申告することをいいます。準確定申告は、被相続人の死亡から3か月以内に行う必要があります。
08 遺産分割協議
相続人同士で相続財産をどう分けるかを話し合い、話し合いがまとまれば遺産分割協議書を作成します。遺産分割協議書は、不動産の登記名義書換えや銀行預金引出しに使うため注意が必要です。
どのように遺産(相続財産)を分けるかという遺産分割の方法については下記記事をご覧ください。
(参考)遺産分割の方法-主要3種類の方法と注意点を相続弁護士が解説
09 相続税の申告
相続財産が基礎控除額を上回る場合には相続税の申告が必要となる可能性があります。基礎控除額は3000万円+600万円×相続人の数によって計算されます。
相続税の申告が必要な場合は、被相続人の死亡時の所轄税務署に申告とともに納税をします。
相続税については別途解説していますが、遺産分割協議を行う場合にトータルの相続税が少なくなるように工夫できる場合があるので慎重にご検討下さい。