内縁(事実婚)の妻や夫には法定相続分はありません。内縁の妻は、離婚に関しては法律上の妻とほぼ同じ扱いをされますが、相続に関しては法律上の配偶者か否かが重視されているため相続人としては取り扱われません。
しかし、以下のような場合には、厳密には相続が認められるわけではないものの、内縁(事実婚)の配偶者が相続財産を取得することができます。
- 2009年 京都大学法学部卒業
- 20011年 京都大学法科大学院修了
- 2011年 司法試験合格
- 2012年 森・濱田松本法律事務所入所
- 2016年 アイシア法律事務所設立
相続人となる者がいない場合
相続人がいない場合は、相続財産は家庭裁判所に選任された相続財産管理人(弁護士)が管理を行い、最終的には国庫に帰属するものとされます(民法959条)。しかし、被相続人と生計を同じくしたり、又は被相続人の療養看護に努めた者(「特別縁故者」といいます。)がいる場合は相続財産を取得することができます(民法958条の3第1項)。
内縁(事実婚)の妻や夫は、特別縁故者と判断される可能性が高いです。
特別縁故者となるためには、自分で手続を行わなければなりません。相続人の不存在が確定してから3か月以内に、特別縁故の申立てを家庭裁判所に行います。特別縁故事由が認められるか否かは原則として申立書の記載に基づいて判断されるため、特別縁故の申立ての手続きについては弁護士にご相談されることをおすすめいたします。
同居していた不動産の賃借権の取得
内縁(事実婚)の夫婦が借家に住んでいた場合、賃貸借契約をしていた方の配偶者が死亡した場合、生存している方の内縁(事実婚)の妻又は夫は、賃貸人との間の賃貸借契約がないため借家から出ていく必要があるとも思えます。
しかし、判例上、内縁(事実婚)の妻又は夫は、相続人(例えば、別居している子ども)が相続した賃借権を自分のために主張して、借家に住み続けることができます。従って、同居していた不動産の賃借権に関しては内縁(事実婚)の夫婦が取得することができます。
また、相続人がいない場合は、居住用建物の場合には残された内縁(事実婚)の妻や夫は、借地借家法の規定により賃借権を取得することができます(借地借家法36条1項)。