相続に関しては相続税の対応も必要となります。相続税は、被相続人(ご両親等)が亡くなった場合、相続財産を相続や遺贈等によって取得した場合にかかる税金です。
なお、平成27年1月1日から基礎控除額が引下げられたことに伴って、相続税が課される世帯は1220万世帯にまで増加したと言われています。とくに都内においては、約25%の世帯が相続税の対象となるとも言われており、相続税対策は身近なものとなっています。
- 2009年 京都大学法学部卒業
- 20011年 京都大学法科大学院修了
- 2011年 司法試験合格
- 2012年 森・濱田松本法律事務所入所
- 2016年 アイシア法律事務所設立
相続税の対象となる財産
相続税の対象となる財産は、原則として被相続人が死亡時に保有していた財産です。しかし、一定の財産については例外となります。
以下の財産については相続税が非課税となります。
- 墓地、墓石、仏壇、香典等
- 国、地方公共団体等に寄付した財産
- 生命保険金のうち500万円×法定相続人の数の金額
- 死亡退職金のうち500万円×法定相続人の数の金額
- 業務上の死亡で支給された弔慰金のうち死亡当時の給料3年分
- 業務外の死亡で支給された弔慰金のうち死亡当時の給料半年分
他方で、被相続人が死亡時に保有していなかった財産でも相続税の対象となる場合があるので注意が必要です。
例えば、相続の開始日から3年以内に贈与されたものは相続税の対象となります。相続税対策として暦年贈与を行う場合に、当該贈与後3年以内に被相続人が死亡した場合は意味がなくなってしまうので、その他の方法を検討する必要があります。
相続税の計算方法
①基礎控除
相続財産を取得した場合、その相続財産の全額について相続税が課されるわけではありません。相続財産から一定額を控除しても残額がある場合に当該残額が相続税の対象となります。
このように相続財産から控除される金額を基礎控除額といいます。なお、基礎控除額は平成27年1月1日に従前の60%に引き下げられ、このため相続税が課される世帯数は1220万世帯と従前の2倍程度に増加したと言われています。
基礎控除額は、以下の計算式によって計算されます。
「3000万円+600万円×法定相続人の数」
例えば、相続人が配偶者、子ども2人の合計3人の場合は、
「3000万円+600万×3人=4800万となるため、基礎控除額は4800万円ですので、相続財産がこれを上回る場合のみ相続税が課されます。
②その他の控除
また、被相続人に借金がある場合や葬儀費用等を支出した場合は、相続財産から借金や葬儀費用などを差し引くこができます。
相続税の申告期限
相続税の申告は、「相続開始を知った日翌日から10か月以内」に行う必要があります。申告先は、被相続人の住所がある税務署となります。
申告通り納付しなかった場合は「加算税・滞納税」の対象になりますので注意が必要です。
相続財産の分配については遺産分割協議が必要となりますが、遺産分割協議がまとまらないと相続税の申告を行うことができません。しかし、遺産分割協議の遅れを理由として相続税の申告を遅らせることは出来ません。
弁護士等に依頼して遺産分割協議をまとめる方法等を行っても、やはり遺産分割がまとまらない場合には法定相続分で相続した事にして納税をする等の対策が必要となりますので、弁護士にご相談下さい。