遺産分割・遺言書作成業務に対する思い

遺産分割・遺言書作成業務に対する思い

弁護士にとって遺産分割や遺言書作成は最も基本的な業務といえます。なぜなら、人間社会において普遍的な問題は夫婦・親子・家族間の問題だからです。

執筆者:弁護士 坂尾陽(Akira Sakao -attorney at law-)

  • 2009年 京都大学法学部卒業
  • 20011年 京都大学法科大学院修了
  • 2011年 司法試験合格
  • 2012年 森・濱田松本法律事務所入所
  • 2016年 アイシア法律事務所設立

 

社会的に立派な人間であろうと、不遇な境遇にあろうと、家族間の問題を回避することはできません。例えば、有名な哲学者ソクラテスは悪妻を持ったことで有名であり、「なにはともあれ、結婚しなさい。良妻を得れば幸福になる。 悪妻を得ればあなたは哲学者になれる。」との言葉を残したほど、夫婦関係に悩んでいたことが分かります。

遺産分割や遺言書作成業務を行うときは、表面上は金銭的な争いに見えたとしても、根底には家族間の微妙でありながら根深い問題が存在することを感じます。

弁護士としては、問題を金銭的に評価しなければ扱えませんが、本当の解決を行うためには家族間の問題の本質を見抜かなければなりません。

 

遺産分割・遺言書作成においては、今まで隠されていた家族全員の思いが噴出します。
話し合いを行うためには言葉にしなければなりませんが、これまでは誰にも相談せずに心の中だけにあった思いが、言葉になることによって整理されるからです。

遺言書作成の場合には、単なる相続財産の配分について方針を決定するのではなく遺言者の本当の思いに即したものでなければなりません。
遺産分割の代理人として交渉する場合は、家族がそれぞれ抱える思いを踏まえた上で複雑に絡み合う感情を解きほぐし、時には相手方の立場にも配慮しなければなりません。

 

当事務所においては、代表弁護士が四大法律事務所において遺産分割・相続・遺言・事業承継等の業務を専門的に取扱っていました。これらの業務は海外においてはウェルス・マネジメント業務と呼ばれており、ウェルス・マネジメントのプラクティスグループに立ち上げから関与していました。

四大法律事務所は、主として企業法務を取扱う事務所であり、最先端のノウハウ・法務知識が必要とされます。遺産分割・相続・遺言・事業承継分野においても、近年大きく変化している相続税制やクロスボーダー取引に関する最先端の法務知識が必要となります。

 

しかし、遺産分割・相続・遺言・事業承継等の真の専門家は、最先端のノウハウ・知識を有していることを前提として、さらに家族問題の本質を見抜いた上で機微に配慮した業務遂行をしなければなりません。

その意味で、遺産分割・相続・遺言・事業承継分野は、総合的な人間力、弁護士としての本質を問われる業務分野といえます。当事務所においては、遺産分割・相続・遺言・事業承継分野は、積極的に取り扱うべき分野であり中心的な業務としていく方針です。

 

遺言書作成のご相談をされる方でも現時点で本当に遺言書が必要か悩まれる方も少なくありません。ご相談者が遺言書を作成することを決意していから、実際に遺言書を作成し、その本人が亡くなるまで長期間に渡ることもあります。

 

当事務所が遺言書作成業務を取り扱うということは、そのご相談者と非常に長期間の信頼関係を築くことを意味します。そのためには、弁護士個々人が信頼されることはもとより、事務所全体でご相談者の思いを受け継ぐ体制が必要となります。

遺言書作成業務を事務所全体の柱と捉えることによって共通のノウハウ・専門知識を土台して、遺言書作成に直接関与した弁護士のみならず、事務所全体で遺言書作成の経緯・ご相談者の思いを受け継ぎ、本当に遺言が必要になった場合に遺言者の思いを実現することが可能になると考えております。