遺言書は厳格な法律の方式に従って作成しなければなりません。自筆証書遺言、秘密証書遺言、公正証書遺言の3つの方式があります。なお、自筆証書遺言、秘密証書遺言については、相続が生じた後に検認手続が必要となります(民法1004条)。
執筆者:弁護士 坂尾陽(Akira Sakao -attorney at law-)
- 2009年 京都大学法学部卒業
- 20011年 京都大学法科大学院修了
- 2011年 司法試験合格
- 2012年 森・濱田松本法律事務所入所
- 2016年 アイシア法律事務所設立
自筆証書遺言(民法968条)
ご自身の手で遺言書を書き、押印することで作成できます。遺言書の全文、日付及び氏名を自ら書く必要があります。
周りに知られることなく、いつでも簡単に作成することができるメリットがあります。
しかし、方式や内容に誤りがあると自分の思いを実現できませんし、自筆であるか否かを巡る紛争が生じるリスクもあります。書籍を参考にして自筆証書遺言を書いたからといって必ずしも安心することはできません。
秘密証書遺言(民法970条)
遺言者が遺言書に署名・押印した上で、同じ印鑑を用いて封印し、公証人・証人2名に対して封書が自己の遺言書があることを述べて作成します。
代筆やワープロによる作成も認められるので、高齢のため遺言書全部を自筆で書くことが難しい場合にも作成できます。
しかし、方式や内容に誤りがあると自分の思いを実現できませんし、自分で遺言書を保管しなければならないため紛失や盗難のリスクがあります。
公正証書遺言(民法969条)
遺言の内容を公証人に伝え、公証人役場で作成してもらう遺言書です。役所に作成を依頼するために多少の費用がかかります。
しかし、専門家である公証人が遺言書を作成してくれますし、原本を公証人役場という役所が保管してくれるため安全です。
公正証書遺言は、有効性について最も信頼できる方法ですし、紛失や盗難などの危険性もないため、この方法で遺言をすることをお勧めします。